あるゲーマーからの手紙

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ゼロから始める名作 『ロックマンゼロ』~その12~

 前回はエリア・ゼロの人間たちにさらわれたネージュの救出を頼まれたところまでで終わった。予定では今回が最終回だが、・・・ちょっと厳しいかもしれない。

 

 さて、敵の前線基地に向かったゼロは昔ながらのダクト潜入でネージュのいるエリアに向かう。満月に淡く雲がかかった夜の出来事である。

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       ダクトの中にもヴァリアントが配備されているのはご愛嬌 

 見るからにおっかない番人もゼロの手にかかればかかし同然*1、迎撃にかかる敵を時にすり抜け、時に討ち、ゼロはネージュの囚われた部屋にたどり着く。

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  ネージュは自分を救いに現れたゼロに礼を言い、クラフトと自分の関係を打ち明ける。二人は人間のためにレプリロイドが犠牲になるこの残酷な世界で、運命的な出会いをして互いを想い合うパートナーだった。少なくとも過去においては。

 

  「・・ありがとう でもできることならクラフトともっと話をしたかった・・

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   「・・フフッ、おかしいよね 人間がレプリロイドを好きになるなんて

 

・・そして俺も、真実を人々に伝えようと戦う一人の人間を好きになっていった・・

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 例え自身が危険にさらされようと、自分の決めたことはやり通す。ネージュは出会った頃と何も変わらないとクラフトは言う。対してネージュはバイルという権威に迎合し、言いなりになって人間を攻撃する今の彼は昔とは変わってしまったと言う。

 自分やネオアルカディアの人間を救うためにエリア・ゼロを、集落を、そこに住む人間たちや自然の環境を蹂躙するなど、ネージュには受け入れられない。しかし、この残酷な世界でネージュを守るために、クラフトは何かを犠牲にしなければならなかった。それはかつてネージュが彼の「誇り」と呼んだものだったのかもしれない。 

  「俺たちが生きていくためにはわずかなエネルギーや居場所を守るしかない

     「・・例えそれが・・ バイルのような奴の支配の下でも・・

      「自分たちが生き残るために 

      他の人々の自由やわずかな自然を奪おうというの?

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変わってしまった世界は二人に選択を迫り、クラフトはバイルに生き残るための全てが握られているという現実を、ネージュはバイルの支配からの独立という理想を選んだ。その結果が互いを愛し合う二人の間に高い壁を築き、その遙か高みから彼らを見下ろす独裁者は笑う。

              「クーックックックッ・・

           「・・お前たち人間が正義を語るのかね?

          「100年前にワシをネオ・アルカディアから追放し・・

       「イレギュラーとしてレプリロイドを処分してきたお前たちが・・

     「人間ごときが今更正義を語ろうというのか!?笑わせるのぉ!

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  バイルはすでに部隊の半数をゼロに撃破されているにも関わらずまるで動じた様子もなく、むしろ無駄な足掻きを続けるレジスタンスを嘲笑いすらした。クラフトがネージュを連れてきたことも、ゼロがそれを救うべく基地に潜入してきたことも意に介さず、それら全てがあたかも娯楽か何かのような態度でネージュに語りかける。

         「さあ そこの女・・お前はどうする?

    「お前の言う自由とやらとともにエリア・ゼロで死を待つか!?

  「それともクラフトのようにワシのような奴の下で生きながらえるか!?

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クーックックッ・・ そうだ・・その顔だ・・ 苦しみと屈辱と怒りに満ちた表情・・

          「それがワシの喜びとなるのだよ・・

     「この喜びこそが・・支配者にだけ許された快楽なのだ・・!

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       「あるのは生き残る者と 死にゆく者だけだ

        「・・ネージュ ・・俺は君を死なせたくない

 Mk.2の死によってエックスによる独裁の時代が終わり、バイルという新たな独裁者が生まれた。それは人間第一主義の崩壊を意味し、社会の維持のために犠牲になる者がレプリロイドのみに限らなくなった。そこまでが恐らくこの世界に住む多くの人々の認識だろう。

 しかし、バイルの台頭の意味するところはそれだけに留まらなかった。彼の根底にあるものは100年かけて深く刻まれた「痛み」であり、全てはそれを紛らわすための余興に過ぎない。そういう人間が世界を支配しているという現実をクラフトは嫌と言うほど見せつけられてきた。

だからこそ彼はその狂気からネージュだけは救い出したかった。そのためにネージュに恨まれることになったとしても。

 だが、ネージュの答えは変わらない。

     「私は・・ 誰かに支配されて死んだように生きるくらいなら

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 合図と共にネージュは懐の閃光手榴弾を投げつけ、クラフトとバイルの視界を奪った。その隙にゼロが退路を確保し、二人は何とかその場を逃れることができた。

 

 バイルはいかにもつまらなさそうな態度でクラフトにラグナロク作戦の続行を指示して去っていった。誰もいなくなった部屋で、クラフトは一人ネージュの言葉を噛みしめる。

 互いの使命を理解すればするほどに二人の距離は離れていく。彼らの関係に出口はあるのか、今は誰にもわからない。

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 ところでこれは余談だが、上の画像でもわかる通りゼロは部屋の床をぶち抜いて脱出している。具体的にどうやって床面を吹き飛ばしたのかは描写されていないが、 今作の一つの目玉として新装備「ゼロナックル」というものがある。

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これを使って特定の敵を倒すと敵の装備を奪って使えるという代物で、使い方によってはゲームの攻略が格段にスムーズになる。

 なぜ今この話をしたかというと、以前オメガ戦の資料の一つとして紹介した『ロックマンX2』におけるゼロ戦の動画、あれを最後まで見るとその理由がわかる。というわけでもう一度URLを貼らせていただこう。

    X vs ZERO(X2) → https://www.youtube.com/watch?v=b22ktINSXe0

 

 動画の3:55辺りに注目していただきたい。ゼロはエックスをシグマの元へ行かせるために拳で地面を殴りつけて穴を空けている

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これは動画中でも何度も使用している「アースブレイカー」というゼロの代表的な技の一つなのだが、この技はゼロが敵として登場する時に使われることがほとんどで、プレイヤー側で使われる機会はほぼない。

 本作ゼロ4でもそれは変わらないのだが、X2をプレイしたシリーズファンは恐らくこのシーンを見て先の動画のシーンを思い出したことと思う。かくいう筆者がその一人だ。ゲーム中に実装はされていないが、ここでゼロは限定的に一度だけアースブレイカーを使った可能性がある。もしそうなら、前作のラストでゼロのオリジナルボディが登場し、そのスペック差を見せつけられた後だからこそ胸に迫るものがある演出といえよう。

 

  さて、基地から脱出しベースへと帰還したゼロを見る集落の人間たちの目は、以前までのそれとは違っていた。ネージュの救出に成功したこともあるが、もともと彼らは彼女を見捨てようとしていたことが大きいのかもしれない

 もしあの時ネージュを見捨てていたら、人間たちは二度と再び団結することはなかったことだろう。人間の敵だと思っていたレプリロイドに、それも自分たちのリーダーであるエックスを殺した張本人であるゼロに、ネージュだけではなく彼ら全員が救われたのである。彼らとしても今回のことから多くのことを学んだことだろう。

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 そして当のネージュも自身を振り返り、政府が公表した情報によって偏った目でレジスタンスを見ていたことを猛省していた。ネオアルカディアに人間として生まれた彼女にとってレジスタンスを好意的に見ることは簡単ではなかっただろうが、彼女もまた今回の事件をきっかけにジャーナリストとしてもう一歩先に進めたということだろう。

 

 とはいえ喜んでばかりはいられない。ラグナロク作戦は今も進行中なのである。

八闘士は残り四人、彼らの部隊がすでに各地で活動を始めていた。

その内容はというと・・・

 ・コロニーの環境維持装置を止める電磁パルスを放射する

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「悪いがお前のおしゃべりに付き合っている暇はない・・・いくぞ!」完全にX時代のゼロのノリである

 

 ・ナノマシンに土地の養分を吸収させて植物を枯死させる

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  植物のツルに見えるのは全てナノマシンの集合体。そう思うとなかなかにえげつない

 

 ・大量の爆薬を積んだ潜水艦を地中で爆発させて地震を起こす

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   指揮官は元ファントムの部下。目的は仇討ちでラグナロク作戦に興味はないらしい

 

 ・巨大な粒子砲でエリアごと吹き飛ばす

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粒子砲の砲塔から直接内部に侵入するゼロ、それを読んだ上で迎え撃つ敵、はっきりいってどっちも異常だ

 

 ラグナロク作戦も後半戦に入るとより即効性のある作戦内容となってくる。

特に粒子砲などは、一度エネルギーが充填されてしまえばエリア・ゼロなどあっという間に焼け野原に変えてしまうだろう。ナノマシンに至ってはボスを倒したとしても、それまでに破壊された植生が復活するのには長い時間がかかる非常にいやらしい作戦といえるだろう。

 ゼロはそんなバイル軍の容赦の無い破壊活動を一つずつ確実に阻止していくが、ドクターバイルの本当の目的、「真のラグナロク作戦」はその裏で着々と進行していた。

 

 といったところで今回はここまで。次回は上記四人とその部隊をゼロが退けたところから続けて語っていこう。

             それでは各々方ごきげんよう

*1:かどうかは実際にはプレイヤー次第だが